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自賠責保険の「被害者請求」とは?賠償金アップのポイント!

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交通事故に遭ったときには、加害者の自賠責保険に対して保険金の請求をする機会があります。
そのときに重要となるのが「被害者請求」です。
自賠責保険への請求方法には、被害者請求と加害者請求という2つの方法があり、被害者請求をすることにより、より高額な賠償金を獲得することにつながるためです。
今回は、自賠責保険の被害者請求と成功させるポイントについて、解説します。
 

1.自賠責保険とは

自動車やバイクを運転される方は、みなさま「自賠責保険」に加入していますよね?
交通事故に遭ったとき、加害者の「自賠責保険」から保険金の支払いを受けることができます。
被害者請求は、加害者の自賠責保険に対する請求の1つです。
自賠責保険というのは、被害者に対する最低限度の補償をするための保険です。
交通事故が起こって被害者が死傷したときには、救済の必要性が高いですが、加害者が任意保険に加入していないこともあります。
そうしたとき、自賠責保険から最低限度の補償を行うことが、自賠責保険の目的です。
そこで、自賠責保険は自賠責法という法律によって強制加入になっていて、自賠責保険に加入していない車を運転すると、罰則も適用されます。
被害者にしてみると、交通事故で死傷したときには相手(加害者)の自賠責保険に対しては、必ず(相手が法律違反をしていない限り)保険金を請求できるということになります。
 

2.自賠責保険への2つの請求方法

被害者が加害者の自賠責保険に保険金を請求するときには、加害者請求(加害者請求)と被害者請求という2つの請求方法があります。
以下で、それぞれについて、どのような手続きかを確認していきましょう。

2-1.加害者請求

加害者請求とは、自賠責保険に加入している被保険者(加害者自身)が、自分の加入している自賠責保険に対して保険金の支払いを請求する方法です。
自賠責法15条に規定されています。
加害者本人が請求することもできますが、加害者が任意保険に加入している場合には、通常任意保険会社が自賠責保険会社に請求手続を行います。

2-2.被害者請求

被害者請求というのは、被害者自身が加害者の自賠責保険に対して保険金の請求をする方法です。
従来は、相手が任意保険に加入していなかったり相手の任意保険の対応が悪かったりして被害者が自分で相手の自賠責保険に請求せざるを得ないときに主に利用されていましたが、最近では、被害者が有利に損害賠償手続をすすめるために、戦略的に被害者請求を利用する例が増えています。
とくに、後遺障害の等級認定を行うときに、戦略的被害者請求を利用されることが多いです。

2-3.事前認定って何?

自賠責保険への請求方法として、「事前認定」という言葉を聞いたことがある方がいるかもしれません。
事前認定は、後遺障害の等級認定手続きの1種です。
後遺障害の等級認定請求は、相手に自賠責保険を通じて行いますが、このとき、相手の任意保険会社を通じて自賠責保険に対して後遺障害の認定請求を行う方法が、事前認定です。
事前認定を行うときには、任意保険会社が自賠責保険に対し、賠償金の支払い前に「事前に」等級の認定手続きを行って等級の確認を行うので、「事前認定」と言います。
事前認定を行うとき、任意保険会社は、自賠責保険が負担すべき後遺障害の慰謝料や逸失利益をいったん立て替えて、その後に自賠責保険からその負担分の支払いを受けることになります。
事前認定は、「後遺障害認定を加害者請求の方法で行う場合」を意味すると考えると良いです。

2-4.一括対応、治療費一括払いとは?

事前認定によく似た制度で、「一括対応」「治療費一括払い」があります。
これらはどちらも同じ意味で、任意保険会社が治療費支払いの窓口になることです。
自賠責保険には治療費の枠があるので、その枠内では、自賠責保険が治療費の支払いを行います。
しかし、加害者が任意保険に加入している場合には、加害者が病院や被害者に対して治療費を支払い、その後まとめて自賠責保険に対する請求を行うことがあります。
このように、自賠責保険の負担分も任意保険の負担分も、一括して任意保険が対応するので、「一括対応」や「治療費一括払い」と言うのです。
一括対応や治療費一括払いも、加害者請求の1種と言えるでしょう。

3.加害者請求の方法

それでは、加害者請求を行う場合、被害者としてはどのような方法で進めたら良いのでしょうか?
治療費の立替を受けたいときには、特に何もしなくてもかまいません。相手の任意保険に対して医療機関を通知したら、相手の任意保険が対処してくれます。
ただ、後遺障害の等級認定(事前認定)を受けるときには、手続きが必要になります。
具体的には、「後遺障害診断書」を用意して、相手の任意保険会社に送付する必要があります。
後遺障害診断書とは、事故によって残ってしまった後遺障害の内容について、詳しく書いてもらった診断書のことです。
治療が終了して「症状固定」した段階で、被害者自身が担当医師に作成を依頼します。
これを送付するだけで、事前認定による後遺障害等級認定の申請手続きは完了するので、とても簡単です。
認定結果については、相手の保険会社から通知されることとなります。
加害者請求を行うために費用はかかりません。ただ、後遺障害診断書を作成してもらうときには、診断書作成費用が発生します。

4.被害者請求の方法

それでは、被害者請求をするためには、どのような方法で進めるのでしょうか?
被害者請求は、加害者請求とは異なり、非常に煩雑です。以下で、その方法をステップごとに確認していきましょう。

4-1.まずは、保険金請求用の書類を取り寄せる


自賠責保険に被害者請求を行うためには、まずは相手の保険会社に連絡を入れて、保険金請求用の書類一式を送ってもらう必要があります。

4-2.書類を集めて提出する

保険金請求用の書類一式が送られてきたら、その内容を確認して、必要書類を集めます。
自賠責保険への請求に必要な書類は非常にたくさんあります。

  • 保険金(共済金)・損害賠償額・仮渡金支払請求書

相手から届いた書類の中に入っているので、必要事項を記入して自分で作成をおこないます。

  • 交通事故証明書

自賠責保険は人身事故の場合にしか請求できないので、人身事故の交通事故証明書が必要です。自動車安全運転センターで取得しますが、郵便局やウェブ上から申請をすることも可能です。

  • 事故発生状況報告書

交通事故の状況を、図などによって説明する報告書です。相手の自賠責保険から送られてきた書類一式に入っているので、被害者が自分で作成します。

  • 医師の診断書または死体検案書(死亡診断書)

死亡事故の場合に必要となります。

  • 診断書

治療を受けた医師に作成してもらいます。

  • 診療報酬明細書

治療を受けた病院にて発行してもらいます。

  • 通院交通費明細書

通院のために交通費がかかった場合に作成します。

  • 付添看護自認書または看護料領収書

付添看護費用の認定のために必要です。
職業看護人についてもらった場合には看護料領収書が必要で、親族に付き添ってもらった場合には、付き添ってくれた人に付添看護自認書を作成してもらいます。

  • 休業損害の証明資料

休業損害が発生しているときには、休業損害の証明資料が必要です。給与所得者の場合には給与明細書や源泉徴収票、休業損害証明書が必要です。
休業損害証明書は、勤務先に作成してもらいます。
個人事業者の場合には、納税証明書や課税証明書または確定申告書が必要です。

  • 印鑑登録証明書

居住地の市町村役場にて取得します。印鑑登録をしていない人は、まずは実印登録をしてから証明書を発行してもらう必要があります。

  • 住民票または戸籍抄本

被害者が未成年で、親権者が代わって請求を行う場合には、未成年者の住民票か戸籍抄本が必要となります。
住民票は市区町村役場、戸籍抄本は本籍地のある市区町村役場で取得します。

  • 委任状と委任者の印鑑証明

死亡事故等で、保険金の請求権者が複数いる場合には、そのうち1人を代表者として請求を行うので、他の請求権者全員分の委任状と印鑑証明書が必要になります。
それぞれの当事者が印鑑登録をしている市町村にて取得します。

  • 後遺障害診断書

後遺障害の等級認定を行う場合に必ず必要です。
治療を受けた担当医師に作成してもらいます。

  • レントゲン写真、MRI検査結果など

後遺障害等級認定を行う場合には、必ず必要となります。
治療を受けた病院から取り寄せます。
これらの書類をすべて集めてまとめて自賠責保険に提出したら、被害者請求の手続きが完了します。

4-3.問い合わせや補足があったら提出する

被害者請求では、書類を送付した後にも対応が必要です。
自賠責保険から提出内容についての問合せを受けたり、資料の追完を要求されたりするからです。
たとえば、「病院から~の資料を取り寄せておくって下さい」などと言われることもあります。
問い合わせがあったらきちんと対応しないと手続きが進まないので、すぐに対応しましょう。

4-4.認定結果についての通知書が届く

請求手続を行って、自賠責保険内での調査が済んだらそれぞれについての結果が届きます。
後遺障害等級認定をした場合には、認定結果の通知書が届くことになります。
そこには、後遺障害が認定されたのかどうかや、認定された場合の等級が記載してあり、認定理由についても記載があります。
ただし、さほど詳しいものではなく、通常は、かなりアッサリした内容となっています。

4-5.被害者請求にかかる費用

被害者請求を行うとき、自賠責保険自身に対して支払う費用は発生しません。ただ、後遺障害診断書などの診断書を書いてもらうための費用は必要です。
また、レントゲン検査結果や診療報酬明細書を取り寄せるためにも費用がかかるので、合計すると数万円以上の出費となることがあります。

5.加害者請求のメリット

それでは、被害者請求と加害者請求では、どちらが被害者にとって有利になるのでしょうか?
この問題は、とくに被害者が後遺障害等級認定を受けるときに重要なポイントとなります。
以下では、この2つを比較してみましょう。
まずは、加害者請求のメリットを確認していきます。

5-1.手続きが簡単

加害者請求の何よりのメリットは、手続きが簡単なことです。
基本的に後遺障害診断書を相手の保険会社に提出すればすべての手続きが終わるため、他に書類を集める必要もありません。
その後、自賠責保険から資料追完の依頼が来ることなどもなく、待っているだけで後遺障害の認定が行われます。

5-2.費用もかからない

加害者請求の場合には、かかる費用が非常に安いです。後遺障害診断書を取得する費用だけなので、5000円~1万円程度で済むでしょう。

6.加害者請求のデメリット


次に、加害者請求のデメリットを確認しましょう。

6-1.手続きが不透明で、不安がある

まず、被害者にとって重要な手続きである後遺障害の等級認定手続きを、事故の相手方である加害者(側の保険会社)に依頼すること自体が問題です。
加害者の保険会社は、なるべくなら保険金の金額を下げたいと考えている立場です。
高い等級の後遺障害が認定されてしまったら、相手の保険会社は当然損をしてしまいます。
そうだとすると、相手の保険会社が真面目に被害者のために自賠責への手続をすすめてくれるのかどうか、被害者としては不安を感じざるを得ません。
また、実際にも、相手の任意保険会社がどのような方法で手続をすすめているのか、手続きに透明性がないことも問題です。
たとえば、相手の任意保険会社が、実際には自賠責保険に通知をせず、勝手に「(後遺障害に)非該当でした」などと言ってきても、被害者にとってはわからないことでしょう。

6-2.後遺障害の等級認定を受けにくくなる

事前認定の場合、実際に後遺障害の等級認定を受けにくくなるおそれがあります。
相手の任意保険会社は、事前認定を行うとき、自賠責保険に対して、自社の産業医から意見書を提出させることがあります。
この意見書は、もちろん「後遺障害を認めるべきではない」という方向での意見書です。
このようなものを提出されてしまっては、被害者にとって大きく不利になることは言うまでもありません。
結果的に、後遺障害が非該当になってしまったり、認定される等級を下げられてしまったりするおそれが高まります。

7.被害者請求のメリット

次に、被害者請求のメリットを確認していきましょう。

7-1.後遺障害の等級認定を受けやすくなる

被害者請求の何よりのメリットは、後遺障害の等級認定を受けやすくなることです。
被害者請求をすすめるときには、被害者自身が自分ですべての資料を揃えて相手の自賠責保険に請求手続を行います。
このとき、必要最低限の資料だけではなく、被害者が自分に有利になる資料を追加で提出することも可能です。
たとえば、医師に追加で意見書を作成してもらい、それを合わせて提出することによって、等級認定を受けやすくなることなどもあります。
工夫次第で結果を有利にすることができる点が、被害者請求のよいところです。
 

7-2.手続きの透明性が保たれて、結果に納得しやすい

被害者請求を行う場合には、各種の書類作成や資料の用意を始めとして、自分の思った通りの方法ですべての手続をすすめることができます。
このことにより、手続きには完全に透明性が保たれて、安心です。
また、自分で思った通りに手続をすすめることにより、得られた結果に対して納得しやすいです。
たとえ非該当になったり低い等級になったりしても「やるだけのことはやった」と考えると、受け入れやすいということです。
事前認定の場合、相手の保険会社から一方的に通知されるだけなので「どうしてなのか?」と疑問に思い、いつまでも悶々とすることになってしまいます。

7-3.先に保険金を受けとることができる

自賠責保険に対して被害者請求をすると、決まった保険金については、即時に自賠責保険から直接支払いを受けることができます。
たとえば、後遺障害が認定されると、自賠責保険の限度額まで一括払いしてもらえるということです。
事前認定の場合には、示談交渉が終わって相手の保険会社からまとめてお金を受けとるまで、一切の保険金を受けとることができないので、お金を受けとる時期が非常に遅くなってしまいます。
それと比べると、まとまった支払を先に受けることができる被害者請求には大きなメリットがあると言えるでしょう。
 

8.被害者請求のデメリット

8-1.手続きが煩雑

被害者請求のデメリットは、なんと言っても手続きが煩雑なことです。
被害者請求をするためには、上記で照会したような大量の書類が必要になるので、請求用の書類を集めるだけでも大変です。
病院や市町村役場、勤務先などの各種の機関に問い合わせや資料作成を依頼しなければなりません。
また、書類を提出したら済むというものでもなく、損害保険料率算定機構や調査事務所(後遺障害等級認定の調査機関)から問合せが来たら応えなければなりません。
日頃忙しくしている被害者や、体調の維持でいっぱいいっぱいな方には、難しい手続きです。

8-2.費用がかかる

被害者請求するときには、意外と費用がかかります。
病院で診断書や検査資料、診療報酬明細書を取得するために数万円かかりますし、市町村役場や自動車安全運転センターで各種の書類を取り寄せるのにも、やはり費用がかかります。
このことも、被害者請求のデメリットと言えるでしょう。
ただし、これらの費用については、後に賠償金に含めて請求することができます。

8-3.うまく活用できないと意味が無い

被害者請求の方法は、上手に行うと、高い等級の後遺障害認定を受ける可能性が高くなってメリットがありますが、反面、専門的な知識やノウハウがないと、あまり意味がない方法です。
書類を集めるだけで精一杯であったり、自賠責保険からの追完の連絡にも応じないでいたりするなら、無駄に時間と労力がかかるだけになってしまいます。
そんなことなら、簡単にできる事前認定の方が良かったということにもなるでしょう。
被害者請求は、うまく活用できないと逆効果になる可能性もある点で、デメリットと言えるでしょう。

9.被害者請求と加害者請求のどちらが良いのか?


それでは、結局被害者請求と加害者請求のどちらが良いのでしょうか?
これについては、やはり被害者請求の方がおすすめです。
たしかに、被害者請求には、手続きが煩雑で、うまく活用できなかったら意味がないという問題がありますが、これについては、弁護士に依頼したらカバーすることができます。
また、費用がかかる問題もありますが、これについては、結局後ほど相手の任意保険会社に請求することができるので、自腹になることはないのです。
むしろ、被害者請求によって、確実に高い後遺障害等級認定を受けられるメリットを重視すべきです。
そこで、後遺障害等級認定を受けるときは、できれば被害者請求の方法を上手に活用して、より高い等級の認定を目指すことをお勧めします。

10.被害者請求を行うべき場面

自賠責保険に対する被害者請求を行うべき場面は、後遺障害等級認定を行う場合以外にもあるので、以下でまとめます。

10-1.後遺障害等級認定請求

まずは、後遺障害等級認定請求を行う場合です。事前認定か被害者請求かを選ぶことができます。

10-2.仮渡金の請求

自賠責保険に対し「仮渡金の請求」を行うときにも、被害者請求を利用します。
仮渡金制度とは、相手の任意保険会社や加害者本人との間で示談が成立する前に、仮に賠償金のうちのいくらかの支払いを受けられる制度です。
交通事故の示談交渉には非常に時間がかかることもありますし、訴訟などになるとさらに長い期間がかかります。
その間、被害者が全く支払いを受けられないとなると、治療費や葬儀費用等のお金が足りなくなるおそれがあるので、仮に先にお金を渡すという仮渡金制度が作られています。
仮渡金によって支払われたお金は、後に相手の任意保険会社から賠償金の支払いを受けるときに、差し引かれることになります(二重取りはできません)。
仮渡金の金額は、被害者が受けたケガの程度によって異なります。

  • 死亡事故の場合…290万円

人身傷害事故の場合

  • 以下の傷害を受けた場合に40万円

脊柱の骨折により、脊髄損傷した場合
上腕または前腕の骨折で、合併症が起こった場合
大腿または下腿の骨折
内臓破裂により、腹膜炎が起こった場合
14日以上の入院を必要とする傷害で、30日以上の治療が必要な場合

  • 以下の傷害を受けた場合に20万円

脊柱の骨折
上腕または前腕の骨折
内臓破裂
入院を必要とする傷害で、30日以上の治療が必要な場合
14日以上の入院が必要な場合

  • 以下の場合に5万円

11日以上の治療が必要な場合
事故後、葬儀費用や治療費等がかかって困った場合には、是非とも利用しましょう。

10-3.相手が無保険の場合の自賠責保険への請求

相手が無保険(任意保険に加入していない)の場合にも、被害者請求によって自賠責保険金を請求する必要があります。
被害者の過失割合が高いなどの理由で、相手の任意保険が支払に対応しない場合も同じです。
これらのケースでは、相手の保険会社が治療費の支払いや後遺障害の等級認定などを行うことがないので、すべて被害者が自分で対応しなければなりません。
相手が無保険の場合、賠償問題について誰も何も言ってこないので、被害者としてはどうしたら良いのかわからなくなってしまうことが多いです。
そういうときには、まずは相手の自賠責保険に対して被害者請求を行い、それと並行して加害者本人への支払い請求の手続をすすめていくと良いでしょう。
 

11.被害者請求の時効

被害者請求を行うときには、時効に注意が必要です。
事故後長期間が経過すると、もはや被害者請求をしても、自賠責保険から保険金を受けとることができなくなってしまうのです。
自賠責保険への保険金請求の時効期間は、以下の通りです。

  • 人身傷害事故の場合、事故発生から3年以内
  • 後遺障害が残った場合、症状固定してから3年以内

死亡事故の場合、死亡してから3年以内
なお、平成22年3月31日までに発生した事故については、上記の時効期間が2年となります。
もし、時効が完成しそうなときには、自賠責保険会社に対し、「時効中断申請書」とう書類を提出し、それに記載をしてもらうことによって時効を中断してもらうことができます。

12.自賠責の認定に対して不服がある場合

自賠責保険に対して後遺障害等級認定を行ったとき、その認定内容を承服できないことがあります。その場合の対処方法を確認しましょう。

12-1.詳細な理由を知りたい場合

まず、後遺障害の等級認定の理由が余りにアッサリとしているので、詳細な理由を知りたいケースがあります。
この場合には、相手の自賠責保険に対して、具体的な認定理由開示請求を行うことができます。
自動車保険会社は、保険金に関する各種の決定について、被害者に通知連絡しなければならない説明義務を負っています。
そこで、説明が不十分な場合には、被害者は相手に対して説明を求めることができるのです。
理由開示請求をしたら、相手の保険会社から理由を説明した書類を送ってもらうことができます。

12-2.異議申し立てをする場合

相手から説明を受けても納得できない場合や、当初から認定内容に納得できない場合には、自賠責の認定に対して異議申し立てをすることができます。
この場合の異議申し立ての受付先は、同じ相手の自賠責保険です。
判定するのが同じ機関なので、以前と同じ方法で請求をしても結果は同じになります。そこで、異議申し立てをするときには、当初の請求時とは異なる工夫をしないと意味がありません。
たとえば、新たに診断書を作成してもらったり、新たに検査を行ってその資料を提出したり、新たに医師に意見書を作成してもらったりする必要があります。

12-3.加害者請求から被害者請求に切り替えることができる?

当初に事前認定の方法で後遺障害の等級認定を行っても、その結果に納得ができないので、被害者請求に切り替えたいと考えることがあります。
こういった、加害者請求から被害者請求への切り替えも可能です。
むしろ、効果的に等級認定を行いたいなら、異議申し立ては被害者請求の方法で行わないと、意味が無いでしょう。
事前認定で異議申し立てをしても、結局任意保険会社が同じ方法で異議申し立てをして、同じ結果になることが目に見えているからです。

13.被害者請求を成功させる方法

被害者請求を成功させるためには、どのような方法があるのでしょうか?
被害者請求は、非常に煩雑で、かつ専門的なノウハウと知識を要する手続きです。
交通事故だけではなく、最低限の医学的な知識も必要です。
そこで、被害者が1人で進めても、効果的ではありません。
より手続きのメリットを活かすには、専門の弁護士に対応を依頼する必要があります。
特に、交通事故に強い弁護士であれば、手続き内容にも明るく最低限の医学的知識も持っていますし、提携している医師がいる弁護士もいます。
確実に高い後遺障害の等級認定を受けたい場合には、是非とも弁護士に相談しましょう。
 

まとめ

今回は、自賠責保険への請求方法としての、被害者請求について解説しました。
被害者が相手の自賠責保険に直接保険金の請求を行うことを、被害者請求と言います。
上手に活用すると、高い等級の後遺障害の等級認定を受けやすくなり、メリットが大きいです。
ただし、手続きが煩雑で専門性の高い方法なので、被害者には荷が重いこともあります。そうしたケースでは、交通事故に強い弁護士に相談をして、手続をすすめてもらうと良いでしょう。